小説を書き始める

小説のプロット
書き方と記入例

人物や書きたい場面は浮かぶのに、本文を書こうとすると止まってしまう。そんなとき、書き始める手がかりになるのが「主人公が何を望み、何を選ぶか」をまとめた一枚のメモです。無料テンプレートと短編の例を用意しました。

プロットは、次に書くことを決めるメモです

この記事では、出来事の順番と、その出来事で人物がどう動くかを決めたメモを「プロット」と呼びます。読者に読ませるあらすじとは違い、自分が本文を書けるなら、箇条書きでも途中の空欄があっても構いません。結末を先に書いておいても大丈夫です。

まずは次の5つを、一行ずつ埋めてみましょう。全部の人物設定や世界の歴史を、ここで完成させる必要はありません。

  1. 主人公:誰の行動を追う話か。
  2. 目的:主人公は何を手に入れたいか、何をしたいか。
  3. 障害:何が邪魔をするか。相手だけでなく、本人の迷いや事情でも構いません。
  4. 選択:主人公はその状況で何を選ぶか。
  5. 変化:最後に、状況や本人の考え方がどう変わるか。

これは書き始めるための一案です。すでに本文を書けるなら、先に書いてから整理しても構いません。

そのまま使えるプロットのテンプレート

下のメモをコピーして、いつものエディタに貼り付けてお使いいただけます。無料・登録不要です。ダウンロードできるMarkdownファイルも同じ内容で、かきかき以外のエディタやメモ帳でも使えます。

テンプレートをダウンロード(.md)

# 作品名(仮)

## 一文でいうと
誰が、何を望み、何に阻まれ、何を選ぶ話?

## 物語の芯
- 主人公:
- 手に入れたいもの・達成したいこと:
- できない理由・障害:
- 主人公が自分で選ぶこと:
- 最後に変わること(仮でよい):

## 場面メモ(必要な分だけ複製)
### 場面1
- 場所・時間・視点人物:
- この場面で主人公がしたいこと:
- 起こること・邪魔するもの:
- 主人公の行動・選択:
- 場面の前後で変わること:
- 次の場面につながる理由:

## まだ決めていないこと
-

## 次に本文を書く場面
-

「場面メモ」は、場面の数だけ複製します。書く順番も場面数も決まりはありません。結末は仮の案でも大丈夫です。本文を書きながら変えていけます。

短編「返せなかった傘」の記入例

ここからは、このテンプレートのために作った架空の短編例です。実在する作品や利用者の体験を紹介したものではありません。

この物語の芯になる5項目

  • 主人公:転居前日の会社員・澪。
  • 目的:長く借りたままの傘を、友人の葵に返して謝りたい。
  • 障害:以前の口論が気まずく、会う約束をしていない。明日は街を出る。
  • 選択:傘だけを玄関に置いて帰るのをやめ、自分から電話をかける。
  • 変化:仲直りはまだできないが、澪は次に話す約束をして街を出る。

一文にすると、「転居前日の澪が、返せなかった傘を口実に友人の家へ行き、気まずさから逃げずに連絡するまでの話」です。

場面ごとの変化とつながり

4場面に分けた例。場面数の指定ではありません。
場面出来事と選択変わること・次へのつながり
1. 荷造り中の部屋澪は傘を見つける。捨てずに返しに行くと決める。避けていた相手に会うため、家を出る。
2. 葵の家の前留守だと分かる。玄関に傘を置きかけるが、持ち直す。物だけ返しても、謝りたい気持ちは伝わらないと気づく。
3. 帰り道澪から電話をかける。最初の一言が出ず、やっと「ごめん」と言う。葵は今すぐには話せないと答える。澪は相手の都合を聞く。
4. 翌朝の駅葵から電話できる時間の返事が届く。澪は傘を持って列車に乗る。傘を返す用事は残るが、連絡を避ける状態は終わる。

たとえば場面2を書くなら、「傘を置く」「手を離す」「もう一度つかむ」という動作から始められます。プロットに書いた説明をそのまま本文にする必要はありません。

プロットを作っても書けないときの直し方

出来事が並ぶだけで、つながらない

「主人公はなぜ次の場所へ行くのか」を一行足すと、場面をつなぐ理由が見えてきます。例の場面2から3なら、留守だから帰るだけではなく、「謝りたいのに言えなかったので、電話をする」とつなぎます。

設定ばかり増えてしまう

すべての設定を本文に入れる必要はありません。その場面の選択に関わるものを、ひとつ残すところから始められます。傘の例なら「以前の口論で気まずい」があれば、玄関の前で迷う動作を書き始められます。口論の細部は別メモに置いておけます。

結末が決められない

「仲直りできる」「断られる」「次に話す約束だけできる」のように、仮の案がいくつかあっても構いません。最後まで決めるのが負担なら、次の一場面だけを具体化する方法もあります。

長編にも使えますか?

作品全体の5項目を先に置き、章ごとに場面メモを増やす使い方ができます。ただし、人物の相関図や複雑な年表までこのテンプレートで管理する設計にはしていません。必要に応じて、専用の道具も併用してみてください。

プロットを見ながら本文を書くには

メモと本文を分けておくと、書く途中で順番を確かめられます。本文の長さを測るときも、設定メモの文字を混ぜずに済みます。場面ごとの長さは文字数の数え方や、ブラウザの文字数カウントで確認できます。

iPhone・iPad・Macで書くなら、かきかきで「プロット」と「本文」の2原稿に分ける方法もあります。テンプレートの本文をコピーして原稿に貼り付けます。iPad・Macでは、2画面表示でメモを参照しながら書けます。無料プランは2原稿まで作成・編集できるため、この2本で試せます。

かきかきには、専用の相関図やプロット作成フォームはありません。人物設定や年表もまとめて管理したい場合は、プロット管理に使えるアプリの比較を参考にしてください。縦書きで本文を書きたい方には、縦書き執筆アプリの比較もあります。

かきかきをApp Storeで見る

一場面だけ、本文にしてみませんか

テンプレートの「次に本文を書く場面」には、いちばん書けそうな場面をひとつ選びます。「登場人物がどこにいて、何をするか」が浮かんだら、メモはいったん脇に置いて、本文の続きを書いてみてください。途中で筋が変わっても大丈夫です。プロットは、その時点の話に合わせて直せます。

テンプレート・記入例はmamama, inc.が本記事用に作成しました。ご自身の作品に合わせて、項目を増減してお使いください。かきかきの操作は使い方、プランの条件は料金で確認できます。